キングパーツ
私たちの身近にある指輪やネックレス。

ヒトの「こころ」や「運命」までも左右しかねない小さな金属たち。

その製法を探っていくと、数千年の歴史がある古来伝承ロストワックス鋳造と

近代ロストワックス鋳造がうまく融合した工法が見えてきます。


工程1) マスターの作成

硬い材料を手作業で削り、原型を作ります。
細かな装飾、複雑な模様表現は職人のなせる技。
できあがった原型(マスターモデル)に、鋳造時に必要になる、「溶けた金属の通り道」を付けてマスターモデルができあがります。

でき上がった原型 金属の通り道を付けた状態

工程2) 「型」の作成

マスターモデルをシリコン製のゴムで包み、固めたら、少しずつ切り込みを入れ分割していきます。
複雑なカタチをしている物も多いですが、そこはゴム。
ゴムの利点を使い、切れ目を様々な所に入れ、伸ばして中のマスターを取り出します。
原型を取り出すと、ゴムワクの中に、原型と同じカタチの「空洞」ができています。

ゴムで包み込みます マスターモデルが取り出せるようゴムを分割します

工程3) ロウ模型の成型

温度を上げてドロドロになったロウ(WAX)を、圧力をかけてゴム型の空洞に流し込みます。
中のロウが固まれば、ゴム型を分割して、ロウ模型を取り出します。
このゴム型さえあれば、同じカタチのロウ模型をたくさん作ることができます。

 

小さな指輪を一つずつ鋳造していたのでは効率が悪いので、ロウ模型を複数個組み合わせて鋳造しやすい大きさに組み立てます。

左イラストの例では、中心から4方向に枝を伸ばした先端にに指輪が並んだカタチをしています。

工程4) 鋳型つくり

鋳造用の鋳型は石膏で作ります。

一まとめにしたロウ模型をケースにいれ、水で溶かした石こうを流し込みます。
この作業は真空状態で行ない、石こう内部に気泡が残らないようにします。

石こうが固まるとそのまま炉に入れて焼きます。

焼きますので、石膏鋳型内部のロウ模型は溶けて流れ出し、流れ出きれず残ったロウも完全燃焼。
鋳型の完成です。

工程5) 鋳造

いよいよ鋳造です。

石こう鋳型に溶けた金属を流し込めばいいわけです。
古代はこうして装飾品を作っていました。

しかし、石こうは通気性が悪く、鋳型内の空気が邪魔をして細かな形状部分にまで溶けた金属が入り込めません。

これらの問題を解決してくれるのが遠心力や真空環境。

鋳型を回しながら溶けた金属を流し込めば、遠心力が働いて、隅々まで金属が流れ込みやすくなりますし、真空状態で鋳造すれば、邪魔な空気も無く、細部まで金属が行き渡り、きれいな装飾もクッキリと再現できます。

遠心力を使いながら真空で鋳造する方法や、流し込んだ金属をさらに加圧する方法などさまざまです。

工程6) 仕上げ

仕上げで一般的なのがバフ仕上げ。

職人により一個一個手仕上げで磨き上げます。


豆知識
プラチナ(Pt、白金)のお話

プラチナは熱に強く、ずっしりとした重量感があります。
酸、アルカリに対しても強い耐性を持ち、加工性にも優れた希少な金属です。
日本では白系に輝く指輪が昔より好まれていますが、銀に比べ耐食性が優れているので、プラチナが発見された後は、急速に浸透していきました。

希少な金属でグラム単価が高いこともありますが、
 ・すぐ固まる為、真空遠心鋳造でなければ鋳造できない事。
 ・重いので、他の金属より1チャージで鋳造できる個数が少ない。
 ・仕上げが難しくコストがかかる。

など、一般にプラチナは他の金属に比べ非常に高価な貴金属になります。
高価ですが、そこまで手を掛けいつまでも美しく輝くプラチナは
それに見合う、持つ喜びがあるのではないでしょうか。


~ロストワックスの可能性を拡げる~ ロストワックスの可能性を拡げるキングパーツ株式会社