キングパーツ
以前「心地よい振動で」で鉄道レールのおはなしをご紹介しましたが、
今回は、車輪についての”おはなし”です。

電車の車輪は左右同軸なのに
どうしてカーブで曲がれるの??

 
 
自動車ではどうでしょう? 内輪差
 

一般的な四輪タイプの車では、前タイヤで舵を切りながら曲がります。右に曲がる場合は、左前タイヤが、右前タイヤより長い距離を転がる必要がでてきます。 「内輪差」と言われています。

右図のように、それぞれのタイヤが独立して回転するのであれば、大きくハンドルを回しても問題はありません。

  が、
駆動輪の場合は左右のタイヤをシャフトでつないでエンジンからの回転を伝えなければなりません。
シャフトでつなぐと左右のタイヤは同じ回転しかできませんので、曲がろうとすると内側のタイヤは空転/スリップすることになります。これを解消するために「ディファレンシャル・ギヤ」と呼ばれる特殊なギヤを組み込んで左右のタイヤに生まれる回転差をうまく配分しながら右へ左へと自由に進むことができます。
 
FR/後輪駆動車の場合 FF/前輪駆動車の場合
内輪差
 
 
ですが・・・
  電車には、自動車の様に曲がる為の機構がありません。
    片輪を滑らせながら走行しているのでしょうか?
      だから車輪のあたりからキー!キー!と聞こえる??
 

当然、高速で曲がる際には遠心力が掛りますので、線路を傾けて曲り易くはしています。
でも・・・  その他に意外な工夫がありました。

レールの形状と車輪のカタチに秘密があります。

自動車と同様に、右に曲がる場合を例にしてみます。
  車輪は外側に向かって細くなるように若干テーパー形状になっています。列車が右に曲がる時は遠心力で車体は左側へ押し出されるよう動きます。
同様に、外側=左側の車輪は進行方向左側に移動し、車軸でつながっている内側=右側の車輪も進行方向左側に移動しますので、両輪の車輪とレールが接触する箇所が違ってきます。
内輪差
 

直進時では左右の車輪とレールとの接点は同じ位置です。
つまり両輪の実質的な直径は同じ。


で、
右に回ろうとすると・・・

内輪差
  遠心力により車軸もろとも両輪は左側に押し出されます。
旋回方向外側の車輪(左側)はテーパーの太い部分でレールに接し、内側車輪のレールとの接地部分はテーパーの細いところに移動します。
内輪差
誇張してイメージ化してみます
 

内輪差

2つの円錐を底面で張り合わせたカタチで考えればわかりやすいかもしれません。

直進時は左右のレールとの接地箇所は同じ部分なので車輪としての直径は同じです。

 

内輪差

旋回を始めると遠心力で円錐は押し出されて左右のレールとの設置個所が変化していきます。
つまり車両のスピード=遠心力に合わせて両輪の直径が変わっていきます。 便利!

  車輪が1回転しても左右の実質径が変化し、内輪差があってもうまく曲がる事ができるのです。
電車に乗っていると、「キー!!キー!!」と車輪から音がしますが、
それは車輪フランジ部の縁とレール側面が接触して発生しています。
通常の走行時では、フランジ部まで当たりません。

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