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先日フィリピン沖の海底で戦艦らしきものの船体が発見され、
第二次大戦中に沈没した『戦艦 武蔵』ではないか・・・と話題になりました。
潜水艇から撮影した画像に巨大な錨が鮮明に映し出され、テレビのニュースなどで見てびっくりされた方も多かったのではないでしょうか。
 

武蔵と同型で戦艦大和に使用された錨のレプリカが広島県呉市の中央公園・芸術の広場に展示されています。
左写真のように巨大なもので、重さは15トンにもなります。

ただ、戦艦大和の情報は軍事機密として厳重に管理され終戦時にほとんどの資料が焼却処分されたため、設計図などの正式な資料は残っておらず、このレプリカは写真など数少ない残存資料から推定して再現されたものです。

 

水上の船が流されないよう固定する『いかり』の起源は古く、石に縄を括りつけた簡素な錨が紀元前5,000年頃のエジプトの壁画に描かれているそうです。
単純に「重さ」によって船体を留めていた『いかり』(シンカー)は、やがて海底の泥や砂による抵抗を固定力に生かした金属製で鉤爪型の『いかり』(アンカー)に進化していきます。
漢字では前者を『碇』・後者を『錨』と表記するという説もあります、それぞれの特徴をよく表したうまい漢字ですね!

 

金属製で複雑な形状と流麗なフォルムを有し、高い強度も求められるアンカーの製造には主に鋳造が用いられます。
全長10メートルを超える世界最大・約70トンの錨も日本で鋳造されたそうです、但しこれは船舶用ではなく東京湾アクアラインの工事において足場を固定するためのアンカーだったということです。


『錨をおろす』『碇泊する』といった言葉には、一時この地にとどまりはするもののやがて旅立つのだ・・・という漂泊の気配が色濃く感じられ、一抹の寂寥感とともにロマンを感じさせると思いませんか?

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