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    音叉 ♪ おんさ
  小学生時代、学校の音楽室に置いてあった音叉で遊んだことがあります。
音叉
叩くと澄んだ音が長く余韻を引く不思議な道具。
当時は何に使うものかサッパリわかりませんでしたが、動機の純・不純を問わずフォーク or ロックと共に青春を過ごした輩には楽器調律の必需品となった金属棒。
今回は、この音叉についてのお話です。

音叉の誕生はズバリ楽器の調律のために、バッハやヘンデルが活躍していた18世紀初めに楽器演奏家の手で発明されたそうです。
U字型の二股金具の底部に柄がついた形状で、叩いて振動を起こすと特定の高さの「音」を発します。          ----限りなく単音に近いため調律にうってつけ----
金属の塊から削り出したような重厚な形状を『ヨーロピアン・タイプ』、
金属棒をUの字に曲げたようなシンプルな形状の『アメリカン・タイプ』と呼ぶようです。
ヨーロピアンタイプ
ヨーロピアン・・U字付け根部分が重厚
アメリカンタイプ
アメリカン・・Simple is BEST!
伝統と格調を重んじるヨーロッパと、合理的&実用性重視のアメリカですか・・・
あくまでもイメージですケド
簡単な構造で自然界には無い純音を簡単に発生できる音叉ですが、大切なのはいかに音叉を正しく発音させるか!なのだそうです。
硬いものでカツンと叩くと、『キーン』という倍音も一緒に発音してしまいます。
お医者さんがカッケの検診に使うゴム製ハンマーのように適度に軟らかい道具を使うのがよいようですが、実際には自分の体の一部を音叉で叩くのが一般的ですかね。
 
若かりし頃、音叉を口にくわえて生ギターの5弦音を合わせていたのはスチール製のアメリカンタイプだったなあ・・・
生ギターよりエレキの世界のほうがモテル!とバンドに鞍替えした後はもっぱら電子チューナーになります。
なんたって耳ではなく「目」=「メーターの針」 で"音"を合わせられるので楽だしね。
 

あいこん 音叉の応用
  音叉を工業的に応用したものに『角速度センサ』があり、カーナビ・航空機や船舶の姿勢検知・カメラの手ぶれ補正などに用いられています。
音叉の振動を利用して物体の回転状態を検出するワケです。
あいこん 振動式角速度センサのしくみ
 

たとえば、車に音叉を積み込み振動させたとします。音叉は常に一定の振れ幅で一定方向の振動を繰り返しています。

  通常振動

車の向きを変えると音叉の中心を軸として回転する力が加わります。

  回転でゆがんだ振動
 
左図の黄色矢印のように一定方向に振動していた音叉のアームに回転によるネジレができて、右図ピンク矢印のように振動方向にも揺らぎができます。
  この波形の変形量を検出することで変化した角度とかかった時間で角速度が計算されます。
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あいこん 宇宙を映す音叉
  振動している音叉の2本柱に押す引くねじるなど「力」を加えると振動数=周波数が変化します。この変化を読み取ることで精密な計測を行ないます。
どんな力が加わったのかを知ることができれば、それに反する力を与えることで変化を打ち消すことが可能になります。
手ブレと反対の方向にレンズを動かせば手ブレ補正機能付きのカメラになります。
これも、音叉の安定した正確な振動ならではの利用法です。
  このセンサが活躍をしているのが、世界最大の光学赤外線望遠鏡・すばる望遠鏡です。
ハワイ島マウナケア山頂に鎮座するすばる望遠鏡の主鏡は口径8.2m×厚さ20㎝、重さ23tの一枚鏡だそうです。
さすがにこの重量ではほんのわずか動かすだけでも自重で歪んでしまい、望遠鏡の命である焦点精度を保てなくなります。
そこですばる望遠鏡では音叉センサーが組み込まれた261本の腕で主鏡を支え、傾きによる荷重に応じて随時鏡面に補正を加えることで、
望遠鏡がどの方向を向いても常にクッキリとした像を結ぶように制御されているそうです。
望遠鏡の主鏡をささえる音叉
カガミを支える音叉のイメージ
宇宙の神秘を映す鏡を
261本の音叉が
支えているというわけです。
 
  神秘といえば
  神秘という単語を引出にあったポケット国語小辞典で引くと
「人間でははかりしれない不思議な事柄」とあります。
  通常、調律用音叉は440Hzです。これ国際基準値。
でも、528Hzの音叉もあります。こちらはまさしく神秘です。
      気になりますか?
  でも金属のおはなしから離れますのでココではふれません。
ネットの世界で訪ねてみてください。
            528Hz      または      ソルフェジオ周波数
 

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